2022年3月4日金曜日

パリ、娼婦の館(書籍紹介)

本日は、フランス文学者の鹿島茂氏著「パリ、娼婦の館 メゾン・クローズ」の紹介です。

この書籍は現代知仏家(パリ)の第一人者である鹿島茂氏が19世紀から20世紀初頭のパリにおける娼婦、娼館、キャバレーの歴史や風俗について語った作品です。

パリの娼館でまずピンと来るのは「メゾン・クローズ」、キャバレーとしてピンとくるのは「ムーラン・ルージュ」というのが、読者諸氏も同様だと思います。

私自身もこれらの名前は知っていましたが、フランス、パリにおける性風俗の歴史・事情についてはほとんど知識がありませんでした。

何気なく手に取ったこの作品は、とても詳しく「メゾン・クローズ」の経営、娼婦とは何か、娼館の日常、ムーラン・ルージュを代表とする「キャバレー」での催し、ダンス、遊び方などについて言及されています。

特に興味深かったのは、いわゆる「活人画」への言及でした。

「覗き魔(ヴォワユール)」に特化した性癖を満たすために催されるアトラクションです。その中でも娼婦たちを女子修道院附属学校の生徒たちに見立てた「お仕置きの時間」の記述でした。

詳細は、本書をお読みいただくとして、概要としては、複数の娼婦たちが生徒に扮し、ステージ上で並べられ、客前でお尻を剥き出しにして、鞭で打たれるという出し物であったようです。

詳しい記述はないもののシナリオもしっかりしており、舞台装飾も拘っているようで、写真も掲載されていました。

しかも当時、人気の演目だったそうです。

「鞭打ち」といえば、英国のヴィクトリア時代というのがまず浮かぶのですが、ヴィクトリア時代のヨーロッパでは、各国それぞれに「鞭打ち」「お仕置き」の風俗があったのですね。

凝ったシナリオで、下着を付けない、丸出しの尻をお仕置きするシーンを生で見ることができるなんて羨ましいですね。

私だったら、もし、そんなお店が現代にもあったなら、必ず訪ねてしまうでしょう。

ちなみこの文庫には「パリ、娼婦の街」という対の作品もあります。お仕置きの記載はなかったと思いますが、こちらも興味深くて、一気に読み干してしまいました。

興味をお持ちになられた方は是非。








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