2021年4月2日金曜日

C.P.の歴史の中の出来事 - 第4回:ローズ・ケラー
ポール・メルローズのシリーズ第4弾「Februs 35」より
 パリのヴィクトワール広場にあるリトルファーザーズ教会の外に一人の女性が立って物乞いをしていました。彼女の名前はローズ・ケラー。綿紡ぎの仕事を失って以降、毎日このように物乞いをする日々を過ごしてました。
 彼女はストラスブール出身で、幸せな結婚生活を送っていましたが、夫の早すぎる死で生活の糧を失い、36歳の若さでローズは恥ずかしながら物乞いの生活を余儀なくされていました。
 もっとも、1768年のパリでは、生活の糧を失った女性にはほとんど選択肢はなく、ローズはその中でも最も不名誉とまでは言えない選択肢を選んでいたと思います。
 ローズがこの悲しい儀式をどのくらいの期間続けていたかは誰にもわかりませんが、そのうち病気となり、最終的には寒さと飢えによる死が彼女を襲う運命は限りなく間近に差し迫っていました。
 しかし、それは、ある運命的な日の訪れにより、ローズと他の女性との間で大きな違いを生むことになりました。

 その日は1768年4月3日のイースター・サンデー。施しを乞う哀れな女性に近づいた男がいました。その男の名はドナティアン・アルフォンス・フランソワ、サド侯爵。
 彼は、通りすがりの者が小銭を彼女に渡し、彼女が感謝の気持ちを込めて握りしめているのを、しばらくの間、見守っていました。
 サド公爵は、彼女に対して、「自分の田舎のコテージまでついてきてくれるならば、2リーヴルを渡そう。」と持ち掛けました。2リーヴルと言えば大金です。
 ローズ・ケラーも馬鹿ではありません。このような大金のために自分が何をしなければならないかをすぐに察知しました。
 憤慨した彼女は、物乞いはしているが、自分は「そんな女ではない」と抗議した上で、最初はサド公爵の提案を断りました。
 するとサド公爵は、ローズに対して「パリに一時的に住むことになり、身の回りの世話をしてくれる家政婦を必要としており、彼女のこの困窮した状況から、脱するための方法の一つである。」と説明しました。
 結局、彼女は、サド公爵の家政婦になれば住み込みで働け、住処と食事が保証されると説得され、この魅惑的な提案に納得しさえすれば、それまでの絶望的な状況からの解放が望めると説得されてしまいました。

 サド公爵の馬車は二人をパリ郊外のアルカイユにある彼のコテージへ向かいました。
 ローズは新しい生活環境に驚き、自分の幸運を信じられずにいました。
 サド公爵が戻ってきて朝食の部屋に呼ばれ、中に入ると、サド公爵は、ドアをロックし、ローズに「全て服を脱ぐように」と命令しました。
 ローズは騙された事にショックを受け、売春婦ではないことを改めて主張し、服を脱ぐことを拒否しました。
 するとサド公爵は、「命令に従わなければ、お前を殺し、庭にを埋めてやると」脅しました。
 恐怖におびえたローズは、服を脱ぎ始めたのですが、慎み深い彼女は、シミーズだけは脱ぐことを拒否しました。
 激怒したサド公爵は、シミーズを引きちぎり、怯えた裸のローズをベッドの上に押し倒し、鞭で彼女の背中と尻を打ち始めました。
 後にローズが証言では、鞭打ちの間に、サド公爵は溶かしたワックスのようなものを彼女の草履に注ぎました。
 ローズが大声で叫べば叫ぶほど、サド公爵の興奮による震えとうめき声は激しくなり、彼がオーガズムに達するまで、厳しい鞭打ちは続きました。
 サド公爵はローズ・ケラーを寝室に閉じ込め、「夜にはパリに連れて帰ってやる」と言っていましたが、ショックを受け怯えていたローズには信じられるず、自分は殺されるのではないかと恐れていました。
 一人になったローズは、シーツを千切りにして結び目をつけ、寝室の窓から逃げ出しました。

 彼女はその後、サド公爵の付き人に見つかったものの、近くの村まで逃げおうせました。
 廷吏長の妻であるランベール夫人はその話を聞き、ローズ・ケラーの傷を診察しましたが、ローズの心は体よりも深く傷つき、結局、涙を流して部屋に引きこもってしまいました。
 次の日、イースターの月曜日、告発は裁判官によって聴取され、ローズ・ケラーが非常に信頼できる証言者であることが認められました。

 サド公爵の家族は、公爵が深刻な問題を抱えていることを確信し、急いで街の廷吏の家で療養中のローズと接見しましたが、この「質素な」乞食の女性は、試練にもかかわらず、健全で冷静な判断ができると考え、和解の申し入れを行いました。彼女は告訴を取り下げに3000リーヴル(約9000ポンド相当)を要求しました。サド家はその要求に唖然としましたが、最終的にローズ・ケラーは2600リーヴルという本当に大きな金額支払って和解しました。
 ローズ・ケラーの人生は一夜にして一変し、彼女が死ぬかもしれないと恐れていた悪夢のような出会いは、実際に彼女の夢を超えた富をもたらし、新しい人生のチャンスと新しい夫との出会いと結婚の機会を与えてくれたのです。

 サド公爵にとっては、この事件は他の事件と関連づけられ、彼を快く思わない彼の義理の母親に、「サドは永久に収監されるべきだ」と国王に進言するまでに至りました。
 快楽主義的な自由主義者であったサド公爵は、最終的に捕まるまでの間、週末に何人もの幼い少女たちと性行為や鞭打ち行為を含む乱交パーティに参加するなど、近隣の人々の道徳心を傷つける行為を繰り返した。
 避けられない事態から逃れようとする試みが長引いた後、サド公爵は逮捕され、刑務所に送られましたが、革命軍によって釈放されるまでの人生の大半を過ごすことになります。
 その内容は、文学評論家の間では、かつては否定されていた残酷で醜悪なポルノ作品というレッテルを越えた、より深いものとして再評価されています。


spanking magazen storise から脚色翻訳


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